えっ、税金かかるの⁉︎110万円贈与の落とし穴

こんにちは、FPエミリーです!

「子どもや孫に、できるだけ税金をかけずにお金を渡したい。」

そんなとき、まず思い浮かぶのが、
「年間110万円までなら、贈与税がかからない」
というルールではないでしょうか。

たしかに、暦年贈与では、1年間にもらった財産が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。

でも、贈与は「110万円以内にしておけば、100%大丈夫」とは言い切れない場面も…。

たとえば、
「子ども名義の口座に毎年100万円ずつ入れておこう。」
「1,000万円を10年間に分ければ、毎年100万円だから非課税だよね。」
「相続税対策として、亡くなる直前まで毎年110万円ずつ渡しておこう。」

一見すると、どれも問題なさそうに見えます。

ところが、やり方によっては贈与したと認められなかったり、将来の相続税の計算に加えられたりすることがあるんです。

さらに、税金だけを考えて子どもへ財産を渡しすぎた結果、
「自分たちの介護費が足りなくなった」
「なぜ兄だけ1,000万円もらっていたの?」
と、老後資金や家族関係の問題につながることも…。

今回は、そんな知らないとかえって損するかも⁉︎
・年間110万円の基本ルール
・暦年贈与で気をつけたい3つの落とし穴
・110万円を超えて財産を渡す方法
・贈与する前に考えておきたい家族と老後のお金
についてまとめました!

① 「110万円」は、贈与する人ごとではない

まず押さえておきたいのが、年間110万円の考え方。
贈与税は、基本的に「財産をもらった人」にかかります。

そのため、父から110万円、母から110万円を同じ年に受け取った場合、もらった本人から見ると、1年間に受け取った金額は【合計220万円】。

そこから基礎控除110万円を差し引いた、残り110万円が課税対象になります。

また、贈与税は金額だけではなく、「誰から誰へ渡したのか」によって、適用される税率が変わることがあります。

たとえば上記のように、父母や祖父母から18歳以上の子・孫へ一定の贈与をする場合には「特例税率」が適用され、税負担が少し軽くなります。

一方で、
・18歳未満の子への贈与
・兄弟姉妹からの贈与
・おじ・おばからの贈与
・他人からの贈与
などは、原則として一般税率です。

つまり、「年間いくらもらったか」だけではなく、
「誰から、誰がもらったのか」まで確認する必要があります。

② 子ども名義でも「親のお金」と判断されることがある

暦年贈与で特に注意したいのが『名義預金』です。

たとえば、親が子ども名義の預金口座を作り、毎年100万円ずつ10年間入金したとします。
この場合、残高は1,000万円。

一見すると、渡しているのは年間110万円以内ですから、
「これで1,000万円を非課税で子どもに移せた」
と思うかもしれません。

でも、その口座について、
・子どもは口座の存在を知らない
・通帳や印鑑を親が持っている
・キャッシュカードも親が管理している
・子どもが自由に使うことができない
という状態だったらどうでしょうか?

これでは、名義は子どもでも、実質的には親が管理している財産です。

そのため、親が亡くなったときに、
「これは本当に生前贈与された財産なのか?」
が問題になることがあります。

大切なのは、口座の名前を変えることではありません。

贈与する側が「渡した」という意思を持ち、受け取る側も「もらった」と認識し、その財産を実際に管理できる状態になっていること。

贈与したつもりで何年も積み立てていたお金が、相続時に親の財産として扱われてしまえば、せっかく準備してきた意味が変わってしまいます。

③ 「毎年100万円」でも、最初から約束していると別の問題が

もう一つ注意したいのが、複数年にわたる贈与です。

たとえば親子で、
「1,000万円を10年間に分けて、毎年100万円ずつ渡すね。」
と最初から約束したとします。

毎年受け取る金額だけを見ると100万円なので、年間110万円以下。
ところが、最初から10年間の給付を約束している場合には、単純に「毎年別々に100万円を贈与した」とは扱われない可能性があるんです。

問題になるのは、
「毎年、その年ごとに贈与の取り決めをしていたのか」
それとも、
「最初から将来10年分を受け取る権利として、約束していたのか」
という違いです。

だからこそ、毎年贈与するのであれば、その都度贈与の意思を確認しておくことが、とても大切です。

贈与契約書を作る、銀行振込で履歴を残すなど、
「今年の贈与は今年決めたもの」
と説明できる形にしておきましょう!

④ 生前に渡しても、相続税の計算に戻ってくることがある

「毎年110万円以下に気をつけて渡せば、将来の相続税対策にもなるよね。」
そう考えて暦年贈与を続けている方も多いと思います。

ただし、ここでは「生前贈与加算」のルールに注意が必要です!

相続などで財産を取得した人が、亡くなる前の一定期間に贈与を受けていた場合、その贈与財産が相続税の計算に加えられることがあります。

この対象期間は制度改正によって段階的に延びており、将来的には原則7年間になります。

たとえば7年間にわたり毎年100万円、合計700万円を贈与していたケース。
一定の条件のもとでは、
亡くなる直前3年間の300万円に加え、
それ以前の4年間についても加算対象となり、4年間分には合計100万円の控除があります。

イメージとしては、
300万円 +(400万円 − 100万円)=600万円
が相続税の計算上、財産に加算される形です。

つまり、「贈与税がかからなかった」ことと、
「将来の相続税の対象から完全に外れた」
ことは、同じではありません。

ここを分けて考えることが大切です。

◽️110万円を超えて贈与したいときは?

子どもの住宅購入や独立などを考えると、
「毎年110万円ずつでは時間がかかりすぎる」
ということもありますよね。

そんなときには、暦年贈与だけでなく、目的に応じた制度を検討できます。

まず代表的なのが「相続時精算課税制度」。
一定の要件を満たせば、父母や祖父母などから子や孫へ、累計2,500万円までの特別控除を利用できます。

ただし、これは『2,500万円まで、完全に非課税になる制度』ではありません。

この制度を使って贈与した財産は、原則として贈与した人が亡くなったときに相続財産へ加えて、相続税を計算します。

そのため、単純な節税制度というより、
「生前に財産を移すための制度」と考えたほうが分かりやすいです。

一方で、
・今後値上がりが見込まれる財産を早めに移したい
・賃貸不動産など、今後生まれる収益を次世代へ移したい
・そもそも相続税がかかる可能性が低い
といったケースでは、活用を検討できることがあります。

他にも、将来的に相続のとき、相続時精算課税で先渡しした財産を持ち戻しても、基礎控除(3000万円+600万円✖️法定相続人の数)を超えない人にもおすすめ。

なお、相続時精算課税を選択すると、その贈与者との関係では原則として暦年課税へ戻ることができません。

「とりあえず使ってみる」というより、将来の相続まで含めて判断したい制度です。

◽️住宅、教育、結婚・子育てなら別の非課税制度も

財産をただ渡すのではなく、「何に使うか」が決まっている場合には、別の非課税制度を検討するのもありです。

たとえば住宅購入。
一定の条件を満たせば、住宅取得等資金の贈与について、2026年12月31日まで非課税措置があります。

省エネ等の一定の要件を満たす住宅であれば最大1,000万円、それ以外の住宅では最大500万円。
ただし、受贈者の年齢や所得、住宅の要件などがあります。

そして、税額がゼロになる場合でも、制度を利用するための申告が必要です。

「非課税=何もしなくていい」ではない点には、注意しましょう。

また、子どもや孫の教育費については、必要なタイミングで直接負担する方法もあります。

たとえば、
・学校の入学金や授業料
・教材費
・留学費用
・塾代
・一定の習い事
など、通常必要と認められる教育費を、その都度支払う場合は原則として贈与税はかかりません。

ここでポイントになるのが『その都度』という点。
「将来大学に行くから、今のうちに4年分まとめて渡しておく」という形では、実は同じ非課税扱いにはならないので要注意!

必要な費用を、必要な時期に負担する。
これも、家族への資金援助では非常に重要な考え方です。

さらに、結婚や子育てのための資金についても、一定の要件を満たせば活用できる非課税制度が。

2027年3月31日までは、18歳以上50歳未満の子や孫などへ、最大1,000万円までの非課税措置があります。
(このうち結婚に使える金額は300万円まで。)

対象になるのは、
・結婚式
・新居への引っ越し
・妊娠や出産
・子どもの医療費
・保育料など。

ただし、金融機関で専用口座を開設したり、領収書を提出したりと、通常の贈与より手続きは増えます。

「非課税枠があるから使う」のではなく、
「これから必要になる支出と制度が合っているか」
まで確認したうえで、利用したいところです。

◽️節税より先に確認したい「親の老後資金」

ここまで読むと、
「じゃあ結局、どの制度を使えば、一番たくさん渡せるの?」
と思われるかもしれません。

でも、贈与を考えるときに税金と同じくらい慎重に考えたいのが、『贈与する側の生活』です。

たとえば、
「預金が3,000万円あるから、子どもに500万円ずつ渡しても大丈夫!」
と思っていても、その後20年、30年生活する中で、自身のお金との向き合い方も変わっていきます。

その間には、
・毎月の生活費
・医療費
・介護費
・老人ホームなどの施設費
・自宅の修繕費
など、大きなお金が必要になるかもしれません。

しかも、一度贈与した財産は、基本的にもう子どもの財産。

あとから、「介護費が足りなくなったから返して7ね。」という前提で渡すのはおすすめできません。

子どもや孫を応援することと、自分の老後を守ること。
どちらか一方ではなく、両方が成り立つ金額を考える必要があります。

◽️「誰にいくら渡したか」は、家族関係にも影響する

もう一つ見落としやすいのが、きょうだい間の公平感です。

たとえば、
「長男が家を買うから援助しよう。」
と、まとまった資金を渡したのに、ほかの子どもには何も伝えていない場合。

親としては、
「相続のときに、兄弟同士で調整すればいい。」
と思っているかもしれません。

ところが、親が亡くなってから初めてその贈与を知ったきょうだいからすると、
「そんな話、聞いてない。」
「なぜ兄だけ援助されてるの?」
と、マイナスの感情が起こる可能性もあります。

金額そのもの以上に、
「自分だけ知らされていなかった」
ということが、家族の感情を大きく動かすことにも繋がりかねません。

生前贈与をするなら、『誰に・いくら・何のために』渡したのか。
そして、ほかの家族にはどのように財産を残すつもりなのか。

親自身の考えも、きちんと見える形で整理しておくことが大切です。
必要に応じて、贈与の記録だけではなく、遺言なども含めて全体を設計しておくと安心ですね。

◽️「税金がかからない金額」と「渡していい金額」は違う

贈与の相談では、どうしても
「いくらまで非課税で渡せるか?」
という話が中心になりがちです。

でも、本当に考えたいのは、
「非課税枠を最大限使うこと」だけではありません。

大切なのは、
・自分の老後資金を十分に残せるか
・受け取る側がきちんと管理できるか
・ほかの家族とのバランスは取れているか
・相続まで含めて有利な方法なのか
・必要な申告や手続きができるか
というところまで含めて考えることです。

年間110万円の暦年贈与が合う家庭もあれば、相続時精算課税が合う家庭もあります。

住宅購入の援助なら住宅取得資金の制度、教育費ならその都度負担する方法のほうがシンプルなこともあります。

「とにかく贈与税をゼロにする」ではなく、
「何のために、いつ、いくら、誰に渡したいのか」
から考えると、自分の家庭に合った方法が見えやすくなります。

そして何より、「渡せる金額」と「渡しても自分たちが困らない金額」は別です。

贈与を始める前に、親世代の老後と、受け取る子ども世代の将来、そしてその後の相続まで、一度まとめて見ておくことをおすすめします。

今回の内容は、YouTubeでも詳しく解説しています。

🎥【親から子へ「贈与税なし」でお金を渡す方法|年間110万円に潜む落とし穴とは?】
https://youtu.be/zaz4KZL-0VQ?si=hsamvuw1GfTHW5Ud

そのほかの「家族とお金の悩み」に関する動画も、YouTubeチャンネルよりぜひご覧ください!

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